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2007年04月03日

活性酸素は最もありふれた発ガン因子

 ガンが発生するきっかけがDNAの損傷だということは前章で述べました。
 では,どのようして活性酸素がDNAに損傷を与えるのでしょうか。

 活性酸素がコレステロールに働きかけて,動脈硬化を引き起こすことはすでに述べましたが,それだけではありません。食べ物の中に含まれるコレステロールは,活性酸素と出会うことによってきわめてラジカルな過酸化脂質に変質します。

 この過酸化脂質は、からだを構成する細胞を攻撃しますが,この時,私達のDNAにも攻撃をしかけてきます。その結果,DNAが損傷を受けてしまうのです。DNAに損傷を受けた細胞はがん細胞となって増殖を始めます。

 また,活性酸素は我々の免疫システムの中でも使われていますが,これがDNAの損傷を引き起こす原因となります。

 例えば,肺に、煙草の成分の一部であるタールが入り込むと、それをからだに害をなす異物と認識し「からだ防衛隊」が出動します。具体的には肺胞に常駐している食胞マクロファージが異物退治の仕事をはじめます。活性酸素の一種であるスーパーオキサイドを放出し、酸化というその毒性を利用して肺の中に入り込んだ異物を殺そうとします。

 異物だけを殺すのなら問題はないのですが、困るのは、力あまって“周辺の正常かつ健康な細胞”にも損傷を与えることです。その結果、肺胞に分布しているDNAにも損傷を与え肺ガンを発病させてしまいます。少なくとも、肺ガンヘと至るであろう発ガンの歩みをスタートさせてしまいます。これが怖いのです。

 もちろん人間のからだは、殺傷の働きが強い危険なスーパーオキサイドを放置しません。それを無害化しようとします。その無害化の過程でもう一つの活性酸素である過酸化水素が生まれ、その過酸化水素を無害化する次の過程に狂いが生じると、やはり活性酸素の一種であるヒドロキシルラジカルが生まれてしまいます。

 本来はからだに害をなす異物を排除しようとして働いた免疫反応が、活性酸素によるDNAの損傷をもたらす結果になってしまうのです。

 これは、肺だけではなく、全身のあらゆる細胞、組織、器官で起こり得ることです。その意味で活性酸素は、最もありふれた、つまり、最も頻繁にDNAに危険ないたずらを仕掛ける「ガン発生因子」なのです。



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